なんとなく戦時下の京劇の映画くらいまでしか知らなかった。のですこし後半にはびっくりしてしまった。が、この映画の本番はその後半、文化大革命あたりの話だったようにも思える。
京劇も蝶衣(レスリー・チャン)美しいのだけど、その美しさ自体よりも、その美しい時代が過去のものとなり、新しく生まれた世代にも古き体制だと馬鹿にされ、あげつらわれ、だんだんと美しくないものが社会的に「美しい」ことになっていくさまが興味深かった。小四への体罰とか、根性論とか、完全にから回っている描写が印象深い。
世代間の断絶がすさまじく、その断絶への悲しみ、また共産主義体制への怒りを感じた。1993年公開、イギリス領香港での制作とのことだが、それでもここまで嫌悪感を描けるのは凄い。中国への好意と嫌悪感。また同じく日本と日本人への当たり前の嫌悪を発露、罵倒をするが人間的尊敬も忘れない。
今回は4Kバージョンの映画を観た。
タイトル:「さらば、わが愛/覇王別姫」サラバワガアイ/ハオウベッキ
監督:チェン・カイコー
出演:張國榮(レスリー・チャン)、張豊毅(チャン・フォンイー)、鞏俐(コン・リー)
公開:1993年
製作国:香港
上映時間:172分
ここからは「朝には」にはない、このブログ「高松堂日誌」での加筆。擬人化の話。
「貨客船(航路に実際に就航した船)」「貨客船として建造されたが特設艦船として就航/就役(航路に就航していない船)」「貨客船として計画されたが特設艦あるいは艦艇として竣工」のふねぶねには、「平和」「非戦時下」「美しいもの」への認識において世代間の格差があるだろうか?
貨客船時代のことを美しく語る特設艦船を馬鹿にする(元船の)(すでに戦時下しか知らない)艦とかいたら興味深いと思った。
映画「さらば、わが愛/覇王別姫」京劇の美しさ以上に、京劇が美しい時代がどんどん過去のものとなり、今は現代演劇が美しいになり、最後は京劇は堕落した美術として弾圧され、人民服、共産党、京劇とは別の赤、時代の変貌の残酷さが鋭く切り口鮮やかで、「今は失った美しいものへの惜別」が美しかった
— 津崎@C102二日目東3ア13a (@samishira) 2023年8月6日